fladdict.net blog: ソーシャルブックマークの衆愚化について

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2005年04月10日

ソーシャルブックマークの衆愚化について

はてなブックマークやdel.cio.usを初めとするソーシャルブックマークサービス（以下SBS）は、グーグルのさらに「あちら側」を押さえるツールになりえる可能性があると思って注目してます。前にも書いたけど、現状のところグーグルを殺す手法というのは「パソコンの手前」か「グーグルの向こう側」に壁を立てることなんじゃないかなと思ってます。その最有力候補としてSBSが自分の中では位置づけられています。

ただ、非常に残念なことは、２番手以降のインターフェースやプレゼンテーション手法が、ほぼ思考停止な再生産に留まっていることです。現在のSBSは、緊急に改善すべき問題を多々内包しながらも、それが無批判に容認されている印象をうけます。

例えば注目エントリー等では、数字が多いことがさらなるブックマークを誘発し、その記事の適正な価値を超えた重み付けが行われてしまうとか。また逆にこのオーバーランなスコアが着かない、良質なエントリーはアーカイブ化された時点で発掘が不可能になる点とか･･･

こういう部分が議論されたり、改善されたりという話を殆ど聞きません。

現状、見かけの上ではSBSが機能しているのは、参加ユーザーが比較的アンテナの長い、意識の高いユーザーに限定されているからに過ぎないと考えています。SBSが現状の情報のスコアリングに偏差が生まれやすい仕様を持つ以上、SBSがクリティカルマスを突破し、大衆層・無思考層が大量に流入してきたとき、サービスの質が致命的なダメージを蒙る危険性があるのではないでしょうか。

SBSの評価システムが、人数によって「民主的」に決定されている以上、この衆愚化の流れは現行のシステムでは、非可逆的なものでしょう。近頃のdel.icio.usに記録されるページの質等を見る限り、このような問題は既に発生し始めているように思います。そしてこのような事態が起きた場合、比較的意識の高いユーザーは、後発の人口の少ないサービスや、閉じたコミュニティーのサービスへと退避するといった行動が起こるでしょう。

だからと言って、エリート思想的なブックマークシステムを作ってしまえば、一部の人間はその恩威に預かれるかもしれませんが、それはもはやソーシャルなブックマークとは言えないでしょう。ネットを細分化する為のツールへと後戻りしていまします。

「集合知のツール」と「衆愚知のマッピング」の境界線のせめぎ合いこそが、これからSBSが直面する最大の課題になるのではないかと思います。

ソーシャルタギング（含むSBS）の最大の利点は、個々のユーザーの利己的な行動が全体の利益に繋がる、というエコロジカルなシステムだったはずです。これをしっかりと動作するものにする為には、個々の利益と全体の利益をうまく繋げる、バイアスをサイトのUIデザインレベルで実装する必要があるとおもいます（それが何かはまだわかりませんが）。

投稿者 Taka : 2005年04月10日 16:17